節税とは基本的に出費を伴うもの!
まず、肝に銘じておきたいのが
「節税とは基本的に出費を伴うもの!」
だということ。
お金を使わずに、税金の額が減るというムシの良い節税策は、なかなか無いと思ってください(過去の失敗の取戻しなど、無いわけではないのですが…)。
【参考エントリー】
というわけで、期末間際、所得を減らして節税するのであれば、
「お金を使っちゃおう!」
ということになるかと思いますが、その際に注意してほしいことは
無駄遣いをしないこと
です。言うまでもないことですが。
事業に必要な資金をしっかり確保できる範囲内の出費で、なおかつ、来年以降の収益が伸びるようなことに、お金をを使うようにしましょう。
収益が伸びるような出費とは、具体的には、広告宣伝費・販促費・人件費・固定資産等ですが、暮れもおしせまった今、現実的に出費するとしたら
「じゃあ、せっかくの機会だから、パソコンでも新しくするかな!」
と、やはり固定資産等の「お買いもの」ですかね。
でもこの「お買いもの」、注意しないと、節税効果が思ったよりも小さいものになりかねないんです!
固定資産購入の落とし穴!
固定資産等を買うとき、なぜ要注意なのかというと、
「一発で経費に落とせない可能性がある」
から。
たとえば、あなたがこの歳末に40万円の事業用パソコンを買ったとしましょう。
パソコンの耐用年数は4年です。
つまり、今後4年にわたって、40万円を費用化(減価償却)していくことになります。
つまり、このお買い物をしても、1年あたり費用として計上できる額は、定額法の場合
40万円÷4年=10万円!(最終年は99,999円)
しかも、12月、期末ギリギリで購入したら、減価償却の額は月数で割らなくてはいけないので
10万円×1/12(月数割り)=8,333円!
つまり、フトコロから40万円が出ていったにもかかわらず、費用にできる額は8,333円なので、節税できる額は
8,333円×税率分だけ!
ということになります。
期末に駆け込みで固定資産を買ってしまうと
「フトコロさみしい割に、なんだか税金が高いな〜」
ということになってしまうのは、このためなんです。
固定資産を購入するときは、なるべく払った額に近い額を落とせるような買い方を!
そこで、事業用のパソコンや家具などの値の張るものを買うときは、なるべく
「払った額」=「費用にできる額」
になるような買い方をするのが、節税する上でのコツです。
そのためには、これからお話しする4つのポイントをおさえるようにしましょう。
1)10万円未満のものを買う
まず、なるべく10万円未満のものを買うようにしましょう!
そうすれば、一発で消耗品費や事務用品費として落とせます。
そして、この10万円未満って、税込み?税抜き?とよく質問を受けますが
決算書を税込経理で作っていれば税込みで、
決算書を税抜経理で作っていれば税抜きで、判定します。
税込経理をしている人であれば、税抜金額で92,592円のものまでが一発で落とせるラインです!税抜経理をしている人であれば、税抜金額で99,999円のお買いものまで一発で落とせるので、税抜経理をしている方のほうが、ちょっと高いものまでおとせます。
あと、この10万円未満判定は「通常1単位として取引されるその単位ごとに判定」します。例えば応接セットを購入する際などは、テーブルとイスの単体ではなく、セット価格で10万円未満かどうか、判定します。
2)20万円未満のものを買う
でも、欲しいモノが10万円以上の場合
うーっ、どうしたらいいんだ!
安心して下さい。10万円以上、20万円未満の場合には、一発では落とせませんが、簡便的に3年間で償却する「一括償却」という方法が認められています。
仮に18万円のパソコンを買ったら
1年目6万円、2年目6万円、3年目6万円と
ポンポン毎年1/3ずつ落とせます。
(耐用年数が4年以上のものなら、耐用年数より早期に償却が済むということ)
この方法、さらにオイシイことに
・白色申告の方も使えます
・期末近くに買ったものでも、減価償却の額は、月数で割らなくてOK
・償却資産税の課税対象外
というメリットもありますよ!
3)30万円未満のものを買う
さらに、
あなたが青色申告の中小企業者であるならば、10万円以上30万円未満の固定資産なら、買った時に一発で落としていいですよ、という特例があります。
▼中小企業者の定義など詳細はコチラ
一発で経費にできるので、よく「即時償却」などとも言われます。
ところで、青色申告の中小企業者の場合、
10万円以上20万円未満の固定資産については、この「即時償却」にするか、2)の「一括償却」にするか、を選ぶことができます。これが悩ましいところ。
まず、「即時償却」を使えるのは、年間300万円までなので、300万円のワクに達するまでは即時償却を使うというのが1つの考え方。ところが、この「即時償却」を使って経費に落とした固定資産は、償却資産税の課税対象になるというデメリットがあります。
ただし、償却資産税は150万円未満であればかからないので、固定資産台帳の簿価がおおよそ150万円未満あるならば、償却資産税のことは考えず、この即時償却を使うといいでしょう。
また、償却資産税がかかる場合には、償却資産税は残存価額(だいたい簿価と同じくらい)×1.4%なので、その金額と節税効果との比較で検討するとよいでしょう。
4)中古のものを書う
30万円以上のものを購入する場合、同性能ならば、中古のものを買うという手もあります。
たとえば、事業用の車両(普通車)の場合、耐用年数は6年。
12月に300万円の車を購入したら、その年に減価償却費で落とせる額は
300万円÷6年×1/12(月数割り)=41,666円
ですが、これが3年落ちの中古車であれば
300万円÷3年×1/12(月数割り)=83,333円
と、落とせる額が大きくなります。
でも、あくまで中古でも性能がいいものを、というのが鉄則です。償却費で落とせる額が大きいという理由で買って、すぐ故障したり使えなくなったりするなら、意味がないですから!
その他の注意点
年末、かけこみで事業用の固定資産をお買いものする際の注意点ですが
1)実際にその固定資産を使い始めること!
その固定資産の納品をして、実際に使い始めないと、経費に落とせません。
なので、「納品は年明け」というような場合は、今年の経費にはできません。ご注意を!
【ご参考】
2)支払は今年のうちじゃなくてもいい!
逆に、実際に年内に納品され、年内に使い始めたのであれば、支払いは来年になっても大丈夫です。たとえばクレジットカードで買った場合など。
これもよく
「支払も年内に済ませないとダメなんですよね?」
と質問されるので、補足しておきますね。
まとめ
年内ギリギリまで節税を考えている事業者の方へ。
年内に納品を受ける、使い始める!
そして、なるべく経費・償却費として多く計上できるよう
30万円未満(白色事業者20万円未満)のものや中古品で上手にお買い物を!
あ、でも、ちゃんと事業に役立つものを買いましょうね。無駄遣いは厳禁!
※昨年の12/11に私の2冊目の著書が発売されました!書店などで見かけましたら、手に取ってちらっと読んで頂けるだけでも相当嬉しいです
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