キムラボ〜税理士 きむらあきらこ(木村聡子)のセルフコントロール研究所

「あなたの1日は27時間になる。――「自分だけの3時間」を作る人生・仕事の超整理法」(ダイヤモンド社)著者で税理士の木村聡子(きむら・あきらこ)がお送りする、バーチャルな研究所。時間・行動・お金のセルフコントロールに関する情報を中心にお届けしています!おそらく、日本で一番年間移動距離の長い、旅する税理士でもあります。

このたび、新しいブログを立ち上げました。今後はこちらで更新をしてまいります。
 https://akirako.jp/
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ご訪問、ありがとうございました。


日刊 > 税務ニュース  その他国税 > 申告と納税

昨日、アップしたこの記事。

「手数料(1万円あたり税別76円)とられることを考えれば、あまり割がよくないのでは?」という声も聞かれます。

確かに「納税でポイントを稼ぐ」という観点から考えると、還元率が高いカードでないとあまり旨味はないとも言えますが、

・混雑している金融機関に行き、時間を待たされるのがイヤ
・事務作業が夜(銀行等営業時間外)しかできない

という納税者にとっては、コンビニ納付・ダイレクト納付・インターネットバンキングに続いて(個人納税者には振替納税という手段もありますね)、こういった「納税の方法の選択肢」が広がることは、素直に歓迎すべきことだと思います。

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でも、一番のメリットと言えば、実質的に納税の時期を遅らせることができることでしょうね。しかも、分割払いやリボ払いまでできるという…(手数料はかかりますが)。
 

というわけで、クレジットカード納付という、多くの人にとって身近な話題のせいか、昨日から今日にかけてSNS各所から様々な反応を頂きました。今日はそんな反応にお答えするとともに、クレジットカード納付の注意点についてもお話しさせて頂きます。

なお回答は、投稿日現在の木村の私見・調べたところによるものです。追加情報が出た場合には加筆・修正いたします。実際に納付する際は、再度情報を確認されることをオススメいたします。

会社の納税を個人のクレジットカードで払っても大丈夫?


会社の納税を、たとえば社長個人のクレジットカードで払っても大丈夫なもんでしょうか?
これについては国税庁から出ている「クレジットカード納付のQ&A(PDF/171KB)」によれば

18. 家族等の国税を納付することはできますか。
答 ご家族等の国税もクレジットカードによる納付は可能です(利用者情報にご家族等の情報を入力してください。)なお、クレジットカード納付は、カードの名義人の方が行ってください。

とあります。

また、国税庁の「クレジットカード納付手続の流れ(PDF/642KB)」によると、利用者情報(納税者の情報)とクレジットカード情報とは別々に入力し、名義が同一であることは要求されていないようですから、会社の納税を社長個人のクレジットカードで払うことは、どうも大丈夫なようです。

その際の会計処理は
 
(借方)租税公課 or 未払租税公課 XXX,XXX円(貸方)短期借入金 XXX,XXX円

などとし、経理処理を失念しないようにすることが大事です。

国税納付、クレジットカード+現金納付の合わせワザもOK?


こんなつぶやきを発見しました。

これ、可能だと思います。なぜなら今でも、納期限内に申告書の修正事項などが見つかるなどして、最初に納税した額が少なかった場合、追加で差額を納税することができるからです。

なので、「納税額>カード限度額」だった場合に、まずクレジットカードでギリギリいっぱい納税して、差額は納付書で追加納税するというのも、可能だと思われます。ただ、税務署から問い合わせが来る可能性があるので、きちんと「本税いくら、うち、クレカでいくら、銀行納付でいくら」ということを説明できるようにしておきましょう。

納税証明書はいつ発行されるの?(これ一番注意ね!!!)


昨日の記事にも書きましたが、クレジットカード納付の最大の利点は、納税時期を実質、後ろにずらすことが可能なことだと思います。もちろん、カードの引き落とし日が法定納期限よりも後になった場合でも、手続きした日が期限内であれば、延滞税は発生しません。

しかし、クレジットカード納付で一番注意したいのが、納税証明書の発行が遅れること!

地方税など、クレカ納付が先行して始まっているところは既にウェブサイトなどで注意喚起していますが、だいたい納付してから納税証明発行まで約2週間かかります「納税証明がすぐに必要な場合は、クレジットカード納付は避けてください」と警告しているほどです。

そしてこれは国税も同じはずです!

というわけで、金融機関から融資を受けるためなど、納税後にすぐに納税証明が欲しいという方、クレジットカード納付は絶対に避けましょう!!

「隠れ未納税金」問題も…?


銀行から融資を受ける際、未納の税金がないかどうか調べるため、納税証明の提出を求められるわけです。

ところが、クレジットカード納付が始まると、納税証明書上は「完納」でも、分割・リボ払いで、実は「隠れ未納税金」がある、というケースも大いに考えられますね。

しかも、クレジットカード事故で利用停止になっても、会社の貸借対照表(B/S)上は、カード会社への債務があるだけ。税金は未納扱いにはなりません。

このように、クレジットカード納付導入後は、由々しき問題(金融機関にとって)が発生しそうにも一見思えますが、そもそもカードの利用可能限度額にも与信が入っていることから、分割やリボ払いで支払いを遅らせたとして、それが巨額の「隠れ未納税金」になるとは考えにくいです。

そして、そもそもカード事故を起こすような会社であれば、その兆候は財務諸表のそこかしこに出ているでしょうから、未納税金の有無以前の問題で、銀行には相手にされないでしょうね。

まとめ


というわけで、昨日あきらかになった「来年からの国税クレジットカード納付」ですが、気をつけるべきポイントをまとめてみました。

・納税を実質後払い(分割払い、リボ払いも!)できるようになる
・カード+現金納付の合わせ技も可能(たぶん)
・家族の税金も払うことができる
・個人カードで会社の税金も払うことができる(たぶん)
・納税証明書がすぐ欲しいときはカード払いはやめておけ!

また追加や修正情報があれば、すぐにお知らせします!

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※昨年12/11に私の2冊目の著書が発売されました!本屋さんなどで見かけましたら、まずはお手にとって頂けるだけでも、とても嬉しいです(^^) 2015-12-11  

この記事を書いた人:木村聡子(きむら・あきらこ)

木村聡子
年間移動距離日本一(推定)の旅する税理士。ビジネス書作家。バブル崩壊をきっかけに、1993年(27歳)資格取得を決意。フルタイムで働きながら、実務経験ゼロ簿記知識ゼロからスタートし短期間で税理士試験合格。1998年(31歳)税理士登録。2000年(34歳)木村税務会計事務所創設。ブロガー税理士の草分け的存在。資格取得時に身につけた仕事術・時間術を駆使し、セミナー講師や広島カープの応援で日本全国を駆け回る。実務誌ほか執筆実績多数。著書に「注文の多い料理店の消費税対応」(中央経済社)、「あなたの1日は27時間になる。」(ダイヤモンド社)。


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