キムラボ〜税理士 きむらあきらこ(木村聡子)のセルフコントロール研究所

「あなたの1日は27時間になる。――「自分だけの3時間」を作る人生・仕事の超整理法」(ダイヤモンド社)著者で税理士の木村聡子(きむら・あきらこ)がお送りする、バーチャルな研究所。時間・行動・お金のセルフコントロールに関する情報を中心にお届けしています!おそらく、日本で一番年間移動距離の長い、旅する税理士でもあります。

このたび、新しいブログを立ち上げました。今後はこちらで更新をしてまいります。
 https://akirako.jp/
引き続きお読みくださるという方は、お手数おかけいたしますが、新ブログをブックマーク、もしくは、リーダーに登録して頂けましたら嬉しいです。こちらのブログ(ライブドアブログ)は更新はしませんが、残しておきます。
ご訪問、ありがとうございました。


お勧めカテゴリ > 年末調整

平成27年年末調整特集
(2)年末調整の対象となる人

年末調整特集の第5回目は保険料控除申告書のポイントについて。

↓この書類(保・配特)もほとんどの方が書いた経験があることでしょう。一枚の中に「保険料控除申告書」と「配偶者特別控除申告書」の2つの申告書が入っています(昔は別々でした)。

46

これは給与所得者であるみなさんが、年末調整で、生命保険料・地震保険料・社会保険料などの保険料控除を受けるために提出する書類です。それでは、保険料控除の種類ごとに、そのポイントを見ていきましょう!


生命保険料控除に関するQ&A


Q生命保険料控除というのは、払った保険料の額だけ税金が安くなるのですか?


Aいいえ、残念ながらそうではありません。
控除には税額控除(税金の額を直接減らす控除)所得控除(税率をかける前の段階の『もうけ』を減らす控除)があります。
生命保険料控除など年末調整のときに「マル扶」や「保・配特」に記入することによって受けられる控除は、ぜんぶ所得控除です。


Q生命保険料を年間で何十万円も払っています。その額の分だけ、所得を減らすことができるのですか?

A一般の生命保険料個人年金保険料介護医療保険料とも、支払った保険料の額に比例して控除額は増えていきますが、支払額が各80,000(旧契約100,000)円/年を超えると、そこから先は一律に控除額は40,000(50,000)円です。どんなに保険料をいっぱい払っても、受けられる生命保険料控除額は最高で年120,000円、ということになります。

【生命保険料控除の額】
(1)旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に基づく、旧生命保険料・旧個人年金保険料)の控除額
 31
(2)新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく、新生命保険料介護医療保険料・新個人年金保険料)の控除額
20

※控除額の計算のしかたは、保・配特の用紙にも書いてあります。


Q一般の生命保険料個人年金保険料介護医療保険料はどうやって見分ければよいですか?また、旧契約(〜平成23年12月31日)・新契約(平成24年1月1日〜)の区別はどうやって見分ければよいですか?

A保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書に、その区別や新旧契約のどちらに該当するかは明示されています。
それぞれの保険の目的別にいうと、一般の生命保険料は遺族保障等個人年金保険料は老後保障等介護医療保険料は介護保障・医療舗保障を目的としています。


Q保険の契約者・保険金の受取人・保険料の支払者…保険はいろんな人がからむから判りにくいですね。生命保険料控除では、このあたりはどうなっているのか教えてください。

Aまず、給与所得者本人が支払ったものが控除の対象になります。
そして、一般の生命保険料控除介護医療保険料控除の適用は、保険金受取人を自分か親族(生計を一にしている必要はありません)とする契約に限られます。
個人年金保険料控除の適用は、年金の受取人が本人か配偶者であるものに限られます。
あと注意したいポイントですが、保険の契約者以外の人が保険料を支払っても、その他の要件を満たしていれば、支払った人が生命保険料控除の適用を受けることができます。
例えば、奥さんが契約者の保険について、ご主人が保険料を支払っているような場合には、ご主人の方で生命保険料控除できます。その際は、生命保険料の控除証明書の名義が奥様の名前になっていても大丈夫です。


Q保険料の支払額の証明はどのようにするのですか?


A
保険料控除を受ける方は、保険会社から送付された生命保険料控除証明書を添付してください(引き落とし通帳のコピーとかではダメですよ)。なお、旧契約一般保険料の場合、年の払込保険料が1契約9,000円以下のときは、証明書の添付を省略できます。
新契約の保険料や、旧契約でも個人年金保険料は、少額でも証明書が必要です。

地震保険料控除に関するQ&A


Q
保険料の支払額の証明はどのようにするのですか?


A
この控除を受ける方は、保険会社から送付された地震保険料控除証明書を添付してください(引き落とし通帳のコピーとかではダメですよ)。
地震保険料控除は、金額が少額でも証明書が必要です。


Q地震保険料控除も、生命保険料控除と同じように、払った保険料の額だけ税金が安くなるわけではないんですよね?

Aそのとおりです。地震保険料控除も所得控除です。地震保険料控除は、支払った金額=所得控除額になりますが、控除額の上限は50,000円となっています。


Qひと昔前にあった損害保険料控除は、もう、受けられなくなってしまったのですか?


A短期の損害保険(火災保険・傷害保険・保険期間が10年未満の積立保険等)の控除は、もう受けられません。
ただし、長期の損害保険契約(保険期間が10年以上で満期返戻金があるもの)で平成18年12月31日までに契約し、かつ、平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないものについては、経過措置により、損害保険料控除の適用を受けることができます。
控除額の上限は、15,000円です。


Qということは、地震保険と、経過措置の対象となる長期損害保険の両方加入している人は、最大50,000円+15,000円=65,000円の控除を受けられるのですか?

Aいいえ、残念ながら、地震保険と長期損害保険の経過措置、一緒に控除の適用を受ける場合、控除額の上限は合算して50,000円となります。
また、一契約で両方の控除の対象となる保険については、いずれか一方の控除しか適用できないので、ご注意くださいね。

【地震保険料控除】
15
※控除額の計算の仕方は、保・配特の用紙にも書いてあります。


Q給与収入以外に自宅で事業もやってます。この場合の自宅の地震保険は、どう取り扱えばいいのですか?地震保険料控除?それとも事業経費?

A地震保険料を自宅の床面積を分母として居住用と事業用に按分して、居住用の分は損害保険料控除、事業用の分は事業経費としてください。
面倒ですが、こうやって少しでも事業経費に回したほうが、節税につながる場合があります!

社会保険料控除に関するQ&A


Q社会保険険料控除も、生命保険料控除や損害保険料控除のように、控除額に制限があるのですか?

Aいいえ、制限はありません。社会保険料を払うことは国民の義務であり、福利政策の一環として重要なものという位置づけから、一年間の間に支払った社会保険料は全額所得から控除できることになっています。


Q社会保険料って、どんなものですか?お給料から引かれている健康保険や厚生年金も社会保険料なのですか?

A健康保険・国民健康保険、厚生年金・国民年金、厚生年金基金・国民年金基金、介護保険、雇用保険・労災保険、後期高齢者医療保険などが社会保険です。
保・配特に記入して控除を受けるのは、
1)勤め先で社保に加入してなくて自分で支払った国年・国健保等
2)無職の期間中に支払った国年・国健保等
3)自分が支払った生計を一にしている親族の分の社会保険料等
です。親族の保険料を支払っている場合は、その金額も忘れずに集計して下さいね。
お給料から差し引かれた社会保険料については、給与支払者が集計し、控除の額に含めますので、保・配特の用紙に書かなくても大丈夫です。


Q滞納していた昨年度の国民年金を今年まとめて納付しましたその場合、全額今年の社会保険料控除としてよいのですか?

Aはい、今年支払ったものであれば、過去の年度のものでも今年の社会保険料控除の対象になります。でも、延滞金は除いて下さいね。
ちなみに、国民年金を今年のうちに前納した場合には、期間が1年以内のものであれば、今年の社会保険料控除として取り扱うことができます。


Q
証明書の添付が必要になりますか?


A
国民年金・国民年金基金については、納付証明書等の添付が義務づけられています!添付をお忘れなく。

小規模企業共済等掛金控除に関するQ&A


Q
証明書の添付が必要になりますか?


A
この控除を受ける方は、必ず掛金の証明書を添付してください。ただし、毎月の給与から差し引かれる掛金については証明書の添付は必要ありません。


Q小規模企業共済等って何ですか?


Aサラリーマンの方には、あまり縁がないですよね。簡単に言うと、退職金のない会社役員や自営業者のための共済制度です。
これも社会保険料控除と同じで、毎月の掛金は全額所得控除となります。
廃業時に受け取る共済金は退職所得となるので、節税策の1つです。ただし加入には一定の要件があります。
役員の方で、小規模企業共済等の掛金をお支払いになられている方は、年末調整での控除をお忘れなく!


今回は長くなってしまいましたね
ここまで読んでくださった方、お疲れさまでした

【次回予告】
次回の年末調整特集は“「保・配特」(保険料控除申告書)のポイント”についてです!

※ブログランキングに参加しています!
にほんブログ村 士業ブログ 税理士へ
にほんブログ村 
きむカフェとは? 

この記事を書いた人:木村聡子(きむら・あきらこ)

木村聡子
年間移動距離日本一(推定)の旅する税理士。ビジネス書作家。バブル崩壊をきっかけに、1993年(27歳)資格取得を決意。フルタイムで働きながら、実務経験ゼロ簿記知識ゼロからスタートし短期間で税理士試験合格。1998年(31歳)税理士登録。2000年(34歳)木村税務会計事務所創設。ブロガー税理士の草分け的存在。資格取得時に身につけた仕事術・時間術を駆使し、セミナー講師や広島カープの応援で日本全国を駆け回る。実務誌ほか執筆実績多数。著書に「注文の多い料理店の消費税対応」(中央経済社)、「あなたの1日は27時間になる。」(ダイヤモンド社)。


コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット