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決断力(羽生善治)〜羽生さんの本はどれもおすすめだけど、ハマるきっかけとなったのがこの本!
この本を手に取ったきっかけは、ブロガーとして税理士として、その表現力をつくづくお手本としたいと憧れている信託大好きおばちゃんが羽生さんの本を絶賛していたから。もう7年前のことですね。
この頃、私は将棋はまったくわからなかったものの
「信託大好きおばちゃんがこれだけ絶賛しているのだから!」
と、この「決断力」を衝動的に購入。読むと、ものすごく良かった!!そして
「将棋を知っていれば、もっと面白かったんだろうな」と思い、これをきっかけに将棋をやるようにもなりました
「信託大好きおばちゃんがこれだけ絶賛しているのだから!」
と、この「決断力」を衝動的に購入。読むと、ものすごく良かった!!そして
「将棋を知っていれば、もっと面白かったんだろうな」と思い、これをきっかけに将棋をやるようにもなりました


本書はひとことで言うと、一芸を極めようとする人間の、修羅と深みを実感できる一冊です。
こういった「思い」が大切なのは、棋士に関わらず私たちにも当てはまること。ここが羽生さんの本が将棋を知らない方からも、広く読まれる理由なのでしょうね。
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「勝負ごと」をしている方には文句なしにオススメ
勝負ごとに生きる羽生さん。だからこの本は、本格的にスポーツなどやっている人には、文句なしにオススメです。受験生が読んでもいいかもしれません。
集中力をキープするにはどうしたらいいか。
感情をコントロールするにはどうしたらいいか。
本当の「敵」は何なのか。
羽生さんの生きた言葉から、そういったことを学ぶことができます。
それにしても、将棋の世界はものすごい過酷なのですね。「対局が終わると、頭の血管が膨れあがり、頭皮が真っ赤になっていることがある」等の表現に、ただただ呆然。
万人に参考になる羽生流・溢れる情報への対処法
しかし、スポーツや勝負を極める人でなくても、参考になることがいっぱいです。
私が最も興味深かったのは、情報の渦の中どのようにそれらを活かせば良いのか、羽生さんがかなりのページ数を割いて説いていることでした。というのも、パソコンが普及するようになって、棋譜をネットで研究することができるようになったり、色んな「手」の分析がなされるようになったり。どうもこれって、将棋の世界では革命的なことのようです。
しかし、そこで羽生さんは次のように仰っています。
…全部分析していたら時間がかかり過ぎるし、そこにアイデアや見解をつけ加えなければ、役に立たない。私はパソコンで知った情報は、「その形にどれぐらいの深さがあるか」で、研究するか、しないかを決める。「これは半年もすれば通用しなくなるな」と思えば、それまで。「これは深く掘り下げる余地がありそうだ」と感じられれば、将棋盤に実際に駒を並べて分析・研究を進めていく。…つまり、情報をいくら分類、整理しても、どこが問題かをしっかりとらえないと正しく分析できない。……生きた情報を学ぶのにもっとも有効なのは、進行している将棋をそばで皮膚で感じ、対戦者と同時進行で考えることだ。…(P.128〜129)
情報について自分の中で取捨選択の基準を持つこと、そして、情報は活かしてナンボだということ。この2本の柱が情報化時代には必須!
たとえば私たち税理士の仕事でいえば
1)情報誌・実務書などは、とりあえずざっと「こんなことが書いてあるのか」くらいに捉えておく。条文等は体系はおさえておく。
↓
2)具体的事例に直面したときに精読し、細かな部分と実務を結びつけることで、規定をモノにしていく。
こういうステップで、知識を深めるといいかもしれませんね(私たちの業界は几帳面な人が多いから、つい、1)の段階から力を入れてしまいがちなので)。
才能は一瞬のきらめきにあらず
この他にも、本書は
常識を疑うことから、新しい考え方やアイデアが生まれる。(P.78〜)
とか、
勝ちにこだわる将棋は、将来的にはマイナスになりかねない要素でもある。勝つことだけを優先していると、自分の将棋が目の前の一勝を追う将棋になってしまう。……勝負に勝つことは、企業でいえば目先の利益である。目先の利益も大事だが、先行投資的な研究もしなければならない。…(P.186〜187)
などなど、学生・社会人・経営者・・・それぞれの立場にとって心に響くだろう言葉がいたるところに溢れています。
その中でも、私にとって一番グっときたのが、次の言葉でした。
以前、私は、才能は一瞬のきらめきだと思っていた。しかし今は、十年とか二十年、三十年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている。(P.170)
若い頃から天才と言われていた羽生さん。この言葉には、彼の半生が濃縮されているような気がしてなりません。
若き日の自信と驕り、そして、葛藤・苦悩。多くの先達からの学び。この短いフレーズから、羽生さんがとおって来た道を伺い知ることができます。一芸を極めようとする過程で通る険しい道こそ、人をさらなる高みに導くのでしょうね。——ここが冒頭で私が言った「一芸に秀でた人間の修羅と深みを実感できた」という所以です。
でも、道を極めることは、苦しい茨の道ばかりじゃない。羽生さんは将棋をほんとうに楽しんでるし、愛してるんだなぁということもわかります。というのも、本書は他の棋士の方々のエピソードも多く、そのどれからも、尊敬の念や暖かい眼差しを感じます。
(中でも、名人位を取るという夢を実現させるため、50歳に近づいてから自分の将棋のスタイルをフルモデルチェンジしたという米長邦雄さんのエピソードには、考えさせられるものがありました。)
羽生さんの本が将棋を知らない人が読んでも面白いのは…
私は、将棋を指す楽しみの一つは、自分自身の存在を確認できることだと思っている。人生は食事をして眠るだけのくり返しではない。「こういうことができた」「こういうことを考えた」という部分がある。それは楽しさであり、人生を有意義にさせてくれる。私は、将棋にかぎらず、何かに打ち込んでいる人には、そういう発見があると思っている。
このように羽生さんは、将棋について一貫して、「勝ちたい」というよりも、「道を究めたい」「道を究めることで、自分を高めたい」という「思い」のほうが強いです。そしてそれこそが、羽生さんの人生の中で最大の価値のようです。その「思い」に貫かれていることが、羽生さんの著書の特徴でもあります(プロスポーツ選手や一芸に秀でた方の著書はおおむねテーマは同じなのですが、羽生さんの本は特に内省的で、表現が抜群にわかりやすいのです)。
こういった「思い」が大切なのは、棋士に関わらず私たちにも当てはまること。ここが羽生さんの本が将棋を知らない方からも、広く読まれる理由なのでしょうね。

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この記事を書いた人:木村聡子(きむら・あきらこ)

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