けっこう重い印紙税の負担
社長さん、ご自分の会社の印紙税の負担がどれくらいか、わかりますか?機会があれば、会社の総勘定元帳等で印紙税の負担額を確認してみて下さい。契約書等を取り交わす機会が多かったり、契約金額が大きい業種では、かなりの負担になっているはずです。
たとえば、IT企業がソフトウェア開発の受注契約をし、その契約金額が2千万円だったとします。その場合印紙税額は2万円にもなります。
建築会社が2千万円の建設工事の請負契約を締結した場合には、軽減措置があるとはいえ、印紙税額は1万5千円です。こういった契約が年間20件もあれば、印紙税の負担は30〜40万円です。利益に関係なく、赤字会社でも負担しなくてはいけない税金ですから、けっこう痛いですよね。
ちなみに統計によれば、印紙税は一事業者あたり年間約100万円超納付しているようです。大企業も含めた統計ですが、こうやって改めて金額を見るとびっくりしてしまいます。
また印紙税の場合、ペナルティが大きいのも特徴の一つです。印紙を貼り忘れた場合は、その印紙税額にプラスして、2倍の過怠税を納めなければなりません(自主的納付の場合には、1.1倍)。あと、印紙は消印をしなくてはなりませんが、消印忘れの場合も額面相当の過怠税がかかります。
このように意外に負担の大きい印紙税、上手に節約するコツはないのでしょうか?というわけで、印紙税節約の基本について、今日はおさらいをしてみましょう。
節税策(1)契約書を契約者の人数分作らず1枚にする
たとえば売買契約等の場合、通常は契約書を2通作成し、売主と買主と1通ずつ持ちます。この場合、印紙税は契約書1通ごとにかかります。
そこで契約書を1通だけ作成し、1通分の印紙税を節約するという方法をとる場合があります。この場合、印紙税は売主・買主で折半します。
契約書は1通はコピーとする場合、原本は買主、コピーは売主が持つことが多いです。ただし、コピーに署名押印をしてしまうと、それ自体が正式な契約書とみなされてしまい印紙を貼らなければならなくなるので、注意が必要です。
節税策(2)文書を分ける
印紙税は、文書に記載されている金額(記載金額)に応じて高くなっていきます。この税率構造を利用した節税策です。手形の例をとって説明いたします。
たとえば3,500万円の手形を振り出すとしましょう。手形が1枚のとき、印紙税は1万円になります。
ではこの手形を3,000万円と500万円の2枚に分けたらどうなるでしょうか?印紙税は6千円+1千円=7,000円ですみます。
このように、手形や契約書は、分けることで節税になる場合があります。しかし、分け方を間違えないよう注意が必要です。たとえばこの例でいうと、1,750万円×2枚に分けると、印紙税は4千円×2=8,000円に…。
印紙税額表をそばに置き、じーっとみつめることが、印紙税節税の基本です。
節税策(3)記載金額は税抜きに!
節税策(2)でお話ししたとおり、印紙税は記載金額に応じて高くなっていきますが、この記載金額は、税抜金額と消費税額を分けて記載していれば、税抜金額で判定します。
契約書に「ソフトウェア開発契約税込1,080万円」と記載してしまったら、印紙税は2万円です。でも「ソフトウェア開発契約税抜1,000万円(別途消費税等を付す)」とか「「ソフトウェア開発契約税込1,080万円(うち消費税等80万円)」とか「「ソフトウェア開発契約税抜1,000万円、消費税等80万円」などと記載すれば、印紙税は1万円で済みます。
※ちょっと本題から外れますが↑「消費税等」の「等」字が気になりません?「消費税等」は「消費税及び地方消費税」の略称です。消費税率8%の内訳は、国税である消費税6.3%、地方税である地方消費税1.3%ですから、契約書などのフォーマルな文書には「消費税等」と書いた方がよいですよ。
節税策(4)文書を非課税文書にする(ただしあまりオススメしません)
実は印紙税には「非課税文書」があります。
代表的なものは委任契約です。たとえば、コンサルティング業におけるアドバイザリー契約などは、成果物の納品を約束する請負契約には該当せず、委任契約になります。そうすると、契約書に印紙税を貼付する必要はありません。しかしアドバイザリー契約でも、毎月レポートを納めることを契約内容とし、そのレポート作成料を支払うという内容にしてしまうと、請負になります。
こういった場合、印紙税の節約のため、なるべく委任契約の形式になるように契約書を締結するというのも一つの節税方法です。
しかしこの方法、度が過ぎると、相手の義務をあいまいにし、自社に対してきちんと仕事をしてもらうことができなくなるかもしれないので、その点は充分注意が必要です。
節税策(5)その他
建設業や不動産譲渡に関する契約書には、印紙税の減税措置があります。しっかり印紙税に関する知識を身につけ、間違って多額の印紙税を納めないようにしたいですね(間違って高額な印紙を契約書等に貼ってしまった場合、手続きをすれば還付を受けることはできますが)。
あと、領収証を発行しなくて済むよう、代金の受領はなるべく振込としてもらうのも、地味ではありますが確実な節税方法です。
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