内容を知らない方に簡単にストーリーを説明すると、選手獲得にお金をかけられないメジャーリーグのとある貧乏チームのフロントが舞台。
(うーむ、日本のどこかの球団に似ている…

)
このチーム、そんな状態だから成績も冴えなかったところ、ゼネラルマネージャーに就任したビリー・ビーンが従来の球界の常識を覆し、統計データに主眼を置いた選手の獲得・起用を行い、球団を改革していく…というお話(実話)。
例えば、ビリー・ビーンはゲームに勝つために大切な指標は、打率よりも出塁率であることに目をつける。他の球団がこぞって長距離打者を高値で獲得するところ、選球眼が良く四球を選ぶことに長けているような選手を獲得していく。しかも安価で。
このことからもわかるとおり、この本は決して、スポ根でも、弱小チームが優勝争いをするようになるまでの感動物語でもありません。
まかりとおっている常識を疑え!
規模や資金力で劣っていても工夫次第でいくらでも手は打てる!
実はそんなことを教えてくれる、マネージメントの教科書といってもいいような本なのです。
戦略を立て、現場での衝突を繰り広げながら、周囲を説得しつつ己の信ずるところを実行に移していくエネルギー。まさに中小企業経営者に捧げたい一冊です。経営者の方には野球好きの方が多いですからね(^_^)とっつきやすいと思います。
(会社員の方へ:情緒や感情や根性を、職場に持ち込みがちな上司がいたとして、その人が野球好きだったとしたら、この本を読ませて暗に『仕事にも科学的なアプローチを』と諭すのにも使えるかも…

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マイケル・ルイス
ランダムハウス講談社
2004-03-18
冒頭で触れたように物語としても読み応えがあるのは、米国人にとって郷愁を感じさせるスポーツである「野球」に対する愛情が溢れ、ビリー・ビーンをはじめとする登場人物のキャラがぶっ飛んでいるから。細かい描写を楽しみたい本なので、間違っても速読やフォトリーディングの対象にはしないこと。週末、時間があるときにじっくり読んで頂きたい一冊です。
ブラッド・ピット
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2012-10-03
映画は観たことないんですよね(^_^; どうなのかな?
アスレチックスのさまざまなマーケティング調査によれば、ファンが一番重視するのはやはり勝ち星だ。無名選手を集めて勝利すれば、ファンが増え始め、やがて無名選手が有名選手になる。逆に、有名選手ばかり集めても負けてばかりいれば、ファンは球場へ足を運ばず、有名選手は無名選手に成り下がる。陽の当らない選手たちを緻密な軍団に育てて、スターが誕生していくようすを眺めるとことは、貧しい球団を運営する者にとって極上の幸せだろう。 — 191ページ
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