キムラボ〜税理士 きむらあきらこ(木村聡子)のセルフコントロール研究所

「あなたの1日は27時間になる。――「自分だけの3時間」を作る人生・仕事の超整理法」(ダイヤモンド社)著者で税理士の木村聡子(きむら・あきらこ)がお送りする、バーチャルな研究所。時間・行動・お金のセルフコントロールに関する情報を中心にお届けしています!おそらく、日本で一番年間移動距離の長い、旅する税理士でもあります。

このたび、新しいブログを立ち上げました。今後はこちらで更新をしてまいります。
 https://akirako.jp/
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kimutax通信 > 読書感想文

古本屋さんで見つけた1982年の本。



著者の三宅菊子さんの、知識の引き出しの深さを感じさせるだけでなく、軽妙でユーモラスで小洒落た文章。読んでいるだけで食欲がわいてくるし、料理を作りたくなります。書かれた時代が1980年代というのが納得。その時代の空気を思い出す、前向きで明るく、元気がでる本でもあります。


内容は、著者のレシピ本です。

素人が料理を美味しく作るのに必要なことは、技術よりも、調理の基本を知り・食材を知り・その調理法や他の食材との相性を知り・何よりも食べることに貪欲で・食べることを楽しむ姿勢なのだと改めて感じさせてくれます。
 
で、登場するレシピの数々が、ほんとうに大雑把すぎるほど大雑把。

でも、簡単な料理でも、そこはかとなく品や知性を感じさせると思ったら・・・

 「母は評論家の三宅艶子(つやこ)さん。夫は2009年に死去した松川事件の佐藤一・元被告。雑誌「an・an」「クロワッサン」などでライターとして活躍。作家・宇野千代さんの聞き書きのほか、料理や生活関係の本を執筆した。」

「三宅菊子についてふれるには、そのおばあさんにあたる三宅やすこに までさかのぼる必要がある。
三宅やす子は京都の師範学校校長の娘で、お茶ノ水高等女学校を出て、夏目漱石にも師事した才媛であった。」

母娘三代にわたり情熱的な才媛。やはり「聡明な女は料理がうまい」のかな?


■あなたは食いしん坊ですか

→で、おいしいものを食べたい、とか、料理をおいしく作ろうということも「エネルギー」だと思うわけです。
 とにかくこのエネルギーを持ち続けたい。(略)
 食いしん坊なら料理はいつかは上手になれる、と私は信じてるのです。(P.10)


■1 サラダとピックルス

→ローマイヤーさんの味には、ドイツの家庭料理の伝統みたいなものを感じます。長い年月の中で培われたものの中から整理して選択した、というような。(P.41)


■2 切るだけ料理

→すべてに共通して言えることは、ザッと切ってドスンと出すのではなく、いちばん似合うお皿に大切にのせて出すべきだと思うのです。(P44.)


■3 海の幸いろいろ

→ヘミングウェイのニック・アダムスがするような、焚火で焼く魚が美食中の美食だと思っています。海女や漁師の焼き方も同じです。ラフに、豪快に、でも優しい。(P.59)


■4 菜っぱ、葉っぱ、煮もの

→こういう技術のコツは、結局は何回も失敗して覚えて行くより仕方がないのでしょう。(略)面倒くさがらずに挑戦し続けようと思います。だって、うちでうまくできたときのワラビの味といったら――山菜そばだと山菜漬だのに入ってる、水煮の味なんかと比べるのもおかしい、ほんとに素敵な味ですもの。(P.89)


■5 出し、お吸いものと鍋もの

→(美味しい味噌汁の作り方)味噌を煮立てないように、(これだけは絶対に気をつける)あと、最後に日本酒を一滴落とす。(P.100)


■6 温かい野菜のおかず

→里芋の煮っころがしに代表される"おふくろの味"を作れる女が少ない……と、甘ったれ男たちが嘆いてます。
 あんなの簡単なんだから、男も自分で作ればいいのに。(P.119)


■7 肉と卵の料理

→ほんとにときどきですけど、思いっきり高価な牛肉を買ってみます。わるいことをしてるような、またはカルチエの指輪でも買うような(これも実際は買ってない)ドキドキする楽しさがあります。値段を知ると食欲が減るでしょうから、100g何千円だったなんてことは、主婦のヒミツとして、直ちに忘れるようにしていますが。(P.138)
 

■8 スープと煮込み

→(クルトン)これがなかなか難しい。要は細かく切ったパンを油で揚げるだけなのに――素人の作はどうしても油っぽい。むしろ残って乾いてしまったパンをトースターで焼いて、手で砕いたほうがいいみたいです。(P.173)
 

■9 主食風のもの

→おいしい、ということは材料がよくて作り方・味つけが上手、なだけでは足りないと思います。盛りつけとか食卓の並べ方も大切でしょうが、もっと根本的に、シックな大人の精神、みたいなものがないと……。(P.191)


■10 デザートお菓子やパン 
→キューリー夫人は、ウランやラジウムの化学データだけでなく、毎日作ったおかずのレシピも詳細にメモしていたそうです。(P.208)



 
大上段に言ってしまえば、何を好んで食べるかがその人の哲学と思想と人生観なんですよね。 — 2ページ

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この記事を書いた人:木村聡子(きむら・あきらこ)

木村聡子
年間移動距離日本一(推定)の旅する税理士。ビジネス書作家。バブル崩壊をきっかけに、1993年(27歳)資格取得を決意。フルタイムで働きながら、実務経験ゼロ簿記知識ゼロからスタートし短期間で税理士試験合格。1998年(31歳)税理士登録。2000年(34歳)木村税務会計事務所創設。ブロガー税理士の草分け的存在。資格取得時に身につけた仕事術・時間術を駆使し、セミナー講師や広島カープの応援で日本全国を駆け回る。実務誌ほか執筆実績多数。著書に「注文の多い料理店の消費税対応」(中央経済社)、「あなたの1日は27時間になる。」(ダイヤモンド社)。


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